「写ルンです」から考える湾曲センサー。

写ルンです、つまりレンズ付きフィルムと呼ばれるカメラですが、可能な限りコストを削減しているカメラです。
ボディもプラスチックで簡素、電子部品を極力少なくし、レンズも単玉レンズのプラスチックレンズです。レンズが単玉ということは収差が取りきれず、特に歪曲収差と像面湾曲が下げにくい事が挙げられます。故にレンズ付きフィルムはフィルム面そのものを湾曲させて、像面湾曲を低減し、単玉レンズでも描写が出せるカメラに仕立てあげました。
では、その思想を高級なデジタルカメラに転用したらどうか。戯れで考えてみました。


デジタルカメラに使われるセンサーは、フィルムと違って、ある程度の角度以上は著しく光量が落ちたりと、入射角度依存性があります。センサーは簡単に説明すると、光を検出する微小な電子素子で、その構造上井戸みたいなものの底に位置しています。よって、ある程度の角度以上では光が当たらなく、様々な問題が起こります。入射角度がきついフィルム時代のレンズをデジタルカメラで使用すると周辺光量や周辺で色収差が目立ったりします。裏面照射センサーなどありますが、高画素高性能のセンサーではまだ未知数です。
入射角度が決まっているのならばそれに合わせてレンズを設計せねばなりません。センサーに当たる光線を垂直に入れるしかありません。簡単に思われるかもしれませんが、光線を不自然に曲げるにはMTF、歪曲収差、色収差などの補正が困難になります。それらの収差を低減するために多くのレンズを要し、センサーに比例してレンズが大きい高性能レンズが世に出ているのはそのためです。
湾曲したセンサーにすれば、周辺の画素は角度がついて入射角度を気にしなてもよくなり、またレンズ付きフィルムと同じように像面湾曲の補正も低減するため、歪曲収差やその他収差を像面湾曲を気にせず低減することができます。
その効果としては、画角が60度以上のライカ判で35mm以下の焦点距離の比較的広角レンズで、高性能のレンズが設計可能か、もしくは少ないレンズ枚数で高い性能が実現でき、レンズのコストを下げられるかもしれません。アプリケーションに展開するには、レンズを小型化・高性能化するためにレンズ固定式のデジタルカメラでマッチングするのが常套手段です。
そんな小型高性能の35mm相当のレンズ固定式カメラがあれば非常にそそられます。
(・・・って思っていたら、Sonyの特許がありました。実現したら面白いですね)
http://egami.blog.so-net.ne.jp/2012-09-26
http://egami.blog.so-net.ne.jp/2012-12-07

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