ズームレンズ雑感。

ズームレンズをあまり使った事がありません。未だに昔の光学設計手法が頭に焼き付いているからかもしれません。
(※レンズ形状の最適化がたくさんの計算が必要なため、良い性能は3つのズームポジションでしか得られない時代が長かったのです)

少なくとも撮影を勉強中の今、便利過ぎるズームレンズはやめておこうかと思います。

まず、ズームレンズでは画角の感覚が薄れてしまいます。単焦点レンズは画角が決まっているので、この画角での勝負になります。そして、いずれはその焦点距離で撮影できる範囲が感覚でわかるようになり、目をファインダーに近づける前に感覚で画角がわかるようになります。極端に言うと、撮影のイメージをするためにカメラすらいらなくなるのです。その点、ズームレンズはその視点を補うようで、実は視点を奪っているので皮肉です。その万能さ故に欠点があるのです。
更に、ズームレンズは最も長い焦点距離の単レンズと同等の大きさでありながら、ズーム領域で最も暗いレンズと同等にもなります。
念のためですが、画角の感覚が鋭い方はズームレンズでもできます。足で場所を稼げないケースではズームレンズでしか撮影できません。スポーツ撮影でフェンスがある時とか、山の頂上で足場が取れない時とか。
ズームレンズの意義は望遠側にあると思います。焦点距離が長いほど、フレーミングを変えるための移動が容易ではなくなるからです。
私としてはまず単焦点レンズで画角の感覚を掴みたい気持ちがあるので、視点を養える単焦点レンズを好みます。ズームレンズは苦手ですが、だからといってズームレンズを否定はしませんし、ズームレンズを使う方を否定するつもりはなく、ズームレンズで撮影された写真を否定するわけでもありません。
ただし、ズームレンズを買うにあたって、『全ての焦点距離が必要だから』とは思いません。あと、正直に言うと新しいレンズを買う方が既にあるレンズで探究するより楽しいですもんね。
コンパクトカメラにズームレンズを付けるのは意味があります。レンズを交換できないので、必然的に多焦点レンズでの撮影はズームレンズが必要になります。
演習としては、ひとつの単焦点レンズを一週間、一か月、一年間使ってみる事ですね。一年は極端かもしれませんが、意味合いは一緒で、集中して使う事でその画角の視点を養うのです。
もちろん、演習という意味ではズームレンズを使いこなせる視点も養う必要があるかもしれませんね。
その昔、プロフェッショナル写真家の頂点はズームレンズではなかったのです。ライカによるルポルタージュフォトグラフィーは単焦点レンズでしたし、National Geographicなどの写真は大判カメラでした。今だったらビューカメラにしろレンジファインダーカメラにしろ単焦点レンズ選びは考察しなければいけないわけですよね。28mm、35mm、50mm、75mm、90mmそして135mmですかね。135mmはレンジファインダーでは少し難易度が高いですか、ギリギリフォーカス合わせは可能です。現実的には28mm、35mm、50mm、75mm、90mmの五つの焦点距離のためのカメラシステムと言えます。そのうち必要なのは2~3本ですかね。私だったら28mmと50mm、ひょっとしたら90mm、ですかね。
ビューカメラも同様で、限られた単焦点レンズのシステムでした。それも一本のレンズを使い続ける人も数多くいたそうです。
現代では、スマートフォンの焦点距離は30mmくらいで、多くが単焦点レンズですね。iPhoneの望遠レンズで56mmですね。iPhoneで撮られた写真が多くなった今、最も一般的なカメラレンズの焦点距離はこの28~30mmの焦点距離かもしれませんね。スマートフォンしかカメラを持っていない方は気付いていないかもしれませんが。その代わりと言ってはなんですが、今のスマートフォン使いは写真のクロップは得意かもしれませんね。

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